2022  9月の星空を撮る






光あふれる街角に星は降る -金生山-


永遠に続くかと思われた猛暑と悪天候。まだまだ台風には用心が必要だが、9月下旬の新月期になってようやく星空が見られるようになった。金生山の下の方から街明かりと星空のコラボ(?)を撮ることにした

金生山は標高が低いので街明かりと同居する。光害を手で覆い見上げると快晴の空に星が輝いていることがわかる
この日の日没は17時48分。天文薄明の終わりが19時12分。今夜は22時頃から揖斐谷で星空撮影を始める予定で、そのまま徹夜で撮影の心づもり。19時過ぎからそわそわと撮影の準備に入り、19時10分に撮影を開始する

麓にお住まいのご近所さんが何往復も走って通過しながら、ここで星を撮っている人を初めて見たと。こんな街明かりが厳しい所では星空を撮ろうとするのは無茶な話。といっても何とかならないか、と四苦八苦する

今回使用したレンズは SONY FE 14mm F1.8 GM 。所謂出目金レンズなので普通のレンズ前面にねじ込むフィルターは使えない。そこでGNDフィルターで街明かりを減光し、StarSoftフィルターで星の輝きを強調した。比較明合成するとあの街明かりの中で撮ったとは思えない夜空に星の軌跡が浮かび上がった

中央の白い星の軌跡は木星。さすがに存在感がある。右上の青白い軌跡は土星で、写野の右下の軌跡は秋の一つ星フォーマルハウト。木星の左上に秋の四辺形、ペガススの四辺形が見える。左上にはカシオペヤ座が輝いている
見事な星空だったが、その代わりに寒かった。そう、この秋一番寒かった



14mm、ISO400、f4.0、8秒×290枚(約39分間)、マニュアルWB、Raw、角型フィルター(StarSoft + GND)使用、後処理として比較明コンポジット


2022年9月24日19時10分 揖斐谷
SONY α7M4 + FE 14mm F1.8 GM










秋の天の川と冬の星座の登場 -揖斐谷-


秋の夜長。夜の初め頃は夏の星座が天頂に輝き、夜が更けてくると星空の主役は秋の星座に変わり、やがて深夜には東の空ににぎやかな冬の星座が登場する。春夏秋冬のうち3つの季節が観望できるのが秋の夜長

画像は天頂から東を見たもので、左端(北)に北極星。左上から右下にかけて秋の天の川が伸びる。天の川の中には左上からカシオペヤ座、ペルセウス座、それに続いてぎょしゃ座とおうし座という冬の星座が登場した。カシオペヤ座の右(南)にはアンドロメダ銀河M31も見える
おうし座のプレアデス星団M45の下(東)にはヒアデス星団が釣り鐘のように星が並び、その中に1等星アルデバランがある。この時期はヒアデス星団とぎょしゃ座の間に火星が侵入し赤く輝きを放っている



14mm、ISO800、f2.0、240秒(30秒×8枚)、マニュアルWB、Raw、角型フィルター(StarSoft)使用、後処理としてダークノイズ減算後に加算平均コンポジット、赤道儀で恒星追尾撮影


2022年9月24日23時40分 揖斐谷
SONY α7M4 + FE 14mm F1.8 GM
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冬の星座 -揖斐谷-



冬の星座はプレアデス星団、和名「昴」から登場する。深夜の東空に昴に続いて左にぎょしゃ座、右におうし座が姿を見せる頃、オリオン座も姿を現す
いつもと違うのはぎょしゃ座とおうし座の間に火星が侵入していること。輝きの赤さはヒアデス星団の一角を占めるアルデバランに勝る

星は巡り、季節もまた巡る



24mm、ISO800、f2.0、240秒(30秒×8枚)、マニュアルWB、Raw、ケンコー PRO1D プロソフトン[A](W) + マルミ Star Scapeフィルター使用、後処理としてダークノイズ減算後に加算平均コンポジット、赤道儀で恒星追尾撮影


2022年9月24日23時40分 揖斐谷
SONY α7M4 + FE 14mm F1.8 GM












オリオン座を撮る -揖斐谷-


天候に見放されて8月のオリオンは撮れずじまい。9月も終盤になったこの夜は夜半過ぎても快晴が続いた。これなら撮れそうと未明にオリオン座が望める場所に移動する

街灯に加えて昼の人口に倍する多数のLEDヘッドライトの光の洪水。四輪・二輪合わせて、若者たちは次から次へと走りに来るわけで、ライトを消して星を見ようとする人はほとんどない。やはり無理かとため息

しかし一人光の洪水の中で三脚を立てて星空を撮っている人を見つけた。声をかけると他県から初めて星を見に来た、という。ライトの眩しい光を手で覆って見上げると、星が見えている。この秋一番の冷え込みがもたらした空気の透明度の高さに助けられて、意外と撮れるかもしれない

気を取り直して山際から上ってきたオリオン座を撮る。光害カットフィルターは必須だが、なんとか撮れたことに感謝
今年もまたオリオン座に出会う季節がやってきた




50mm、ISO800、f4.0、60秒、マニュアルWB、Raw、ケンコー PRO1D プロソフトン[A](W) + マルミ Star Scapeフィルター使用、長秒時ノイズリダクションon、赤道儀で恒星追尾撮影


2022年9月25日02時57分 揖斐谷
SONY α7M4 + TAMRON 28-75mm F/2.8 Di III VXD G2(A063)





20220929  (篠田通弘)